前回、前々回に引き続き夜間の消音対策の話である。これまでに紹介した方法でしばらくはギターの練習をしていたが、まだまだ音量を常に気にして遠慮がちに演奏している感じだ。
音量のことを忘れて気ままに弾きたいという気持ちは持ち続けていた。そしてとうとう一大決心をしたのであった。
目 次
防音室の購入を考える
自宅の一室を防音施工してしまう案もあったが、これはとんでもなく費用がかかることがわかった。7桁は覚悟しないといけない。現状まず無理でした。
それに何かの理由で引っ越ししなければならない理由ができた場合にこれは不便だ。ということを考慮に入れ、引っ越しに対応可能な組立型防音室がベストとの判断をくだした。
WEBで防音室を検索するといろいろ出てくるが、今回は大手メーカーの安心を買うことにした。別に大手だから良い製品というわけではないが、自分に必要な要件を満たすものであればよく、細かい仕様の差は目をつむることにしたのだ。
まぁ個人的には無難な線の商品を売り出している大手メーカーよりも、専業で良い製品を出している中規模のメーカーの方がいいのかもしれない・・とはチラッと考えた(価格も安めだし)が、とりあえず安心を優先した。
防音室が満たすべき条件
まず防音設備に関する知識を多少はつけないと商品選びで苦労するのが見えている。専門家まではとはいわないが、営業トークに騙されないくらいの知識はあった方がいい。
防音室の基本性能について
まず第一に考えることは防音室の遮音性能だ。どの程度音を遮音できるかが問題で、当然遮音性能が高い製品ほど値段が高くなる。値段が高くなると同時に総重量も重くなる。
防音室に求める遮音性能については、値段だけではなく防音室自体の重量も考慮しないといけない。何故なら自宅の床の耐荷重を超えたものは置けないのだから。
マイ防音室選びにおける遮音性能の落としどころについて、情報収集しながらいろいろ検討した。
音の大きさ(強さ)を測る基準 -デシベル(db)-
誰でも聞いたことはあると思うデシベルという単位。dbと表記される。たとえばクラシックギターの平均的な音量は70db~80dbと言われている。
ピアノだともう少し大きく90db~100dbといったところ。試しに自分のギターで軽めに弾いて計測してみたところMaxで70db位だった。私はソフトタッチなのでこんなもんだろう。
このデシベルという単位はちょっと不思議な単位で、音の大きさと数値が比例しないのだ。
たとえば40dbと80dbでは数値的には2倍の開きがあるが、音の大きさは2倍ではなく100倍違うのだそうだ。計算上、20db違うと音の大きさは10倍違うらしい。
参考までに6db違うと2倍の差となるらしい。なんか指数関数的だなと思う。なので遮音性能で5db違うというのは結構大きいことになる。
この感覚は是非覚えてほしい。なぜなら遮音性能の5db違いは、防音室のお値段に直結するから。
一般的な音量の目安は
一般的な音量の目安として、 KAWAI カタログ「音のエチケット」の図面がわかりやすかったので載せておきます。(画像が荒くて済まない)
音のエチケットにはギターが載っていないのが残念だけど、楽器は基本80db以上って感じです。ギターは比較的音が小さい楽器なのでちょっと下がります。
防音室ではどの程度遮音できるのか?
一番知りたいのは、防音室でどの程度遮音できるかというところでしょう。それを知るために指標的な知識をちょっとまとめます。
遮音性能 Dr等級について
遮音性能を表す指標としてJISで規定されているDr等級というものがある。このDr等級には数字が付与され、Dr35 とか Dr40 と表記される。
この Dr?? の数値を簡単に説明すると、音を何デシベル遮音する性能があるかというものらしい。Dr35 なら 35db をカットする計算になる。
クラシックギターの平均的な音量(音圧というのが正しいかも)については上記で書いたが、私の例として70dbの音が出ているとすると、70db-35db=35dbという計算になる。
つまり防音室の中で私がギターを弾いた場合、防音室の外では約35dbの音になるということだ。
上記デシベルの表と対比させるとわかりやすいかもしれないが、約35dbというのは「ささやき声」程度ということになる。
同じ部屋の防音室のすぐ外にいる人にはささやき声程度の音が聞こえるということになる。気にしなければ問題ないレベルだ。
実際の利用における音の漏れ
先程の例で「 防音室の外では約35dbの音になる」と書いたが、これは防音室の直ぐ近くにいる人に聞こえる音量ということになる。
何が言いたいかというと、防音室から少し離れたところや別の部屋ではもっと小さく聞こえるということだ。
マンションを想定すると、隣の住居までは壁で隔たれているわけで、その壁の遮音性能でさらに音量が下がると考えられる。
なので、防音室の販売担当の話では、防音室と住居自体の防音性能を合わせた総合防音性能として考える必要があるとのこと。
単純に同じ家の中の同居人に対して遮音するのであれば防音室の性能が基準ということになる。(同居人に楽器への理解が得られない人は辛いね・・)
市販防音室のDr等級について
私がターゲットとしている組み立て型の防音室のDr等級は30~40ほどだ。以前はDr30の製品も見かけたが、最近はDr35~40の製品が殆どである。Dr30では遮音性能が費用に見合っていないといった感じだ。
Dr35とDr40の製品を比べると値段がかなり違う。僅か5dbの差をどう判断するかというところが問題で当時悩んだものだ。もし私がピアノのために防音室を購入するとすればDr40は絶対の条件となっただろう。
ここで上の方で書いた「6db違うと2倍の差」を思い出してほしい。計算上 Dr40 の方が2倍弱の遮音性能ということになる。この差をどうみるか。
私の場合、音量が小さめのクラシックギターの演奏であるため、防音室の販売店(YAMAHA)の相談室でもDr35で十分なのではと言われていた。ピアノならDr40を勧めると。
私は石橋を叩いて渡りたいタイプなので、Dr40なら「だめを押せるか?」という気持ちが沸いてくる。ただ耐荷重の問題が気になった。Dr40は重い。自宅の床の耐荷重を調べないと結論がでない。
もう一つ重要なのは、Dr35からDr40にアップするだけで30万~40万も価格が跳ね上がることだった。30万~40万も値段に差があれば、防音室オプションの付けるかどうかの選択にも影響する。
参考までに、このページの防音室の画像の右側に縦長のガラス窓があるが、あれはオプションである。オプションなしであれば壁で塞がっている。様々な理由で窓のオプションは付けたかったのだ。
訪問した島村楽器(川崎ルフロン店) になんとヤマハ防音室のDr35とDr40が置いてあった。店員にお願いして中でギターを鳴らしてもらい、音の漏れ具合を確認することができた。
当然店内も別の騒音がなっており、防音室の外から聞いていてもあまり Dr35とDr40 がわからなかった。結局これが決め手で Dr35 にすることに決めたのだ。
次回の投稿では購入に向けて自分がとった行動について書きたいと思う。